備える よくわかる「教育資金贈与の非課税制度」 (2016/12/08)

教育費の確保は悩みの種

住宅資金・老後資金と並んで人生の3大支出とされる教育資金。文部科学省「平成26年度子供の学習費調査」によると、幼稚園から高校まですべて公立でも教育費の総額は約523万円、すべて私立だと約1770万円にのぼる。

場合によっては、さらに専門学校や大学の入学金・授業料などが加わる。子どもを育てている親世代は、どのように費用を捻出するか頭が痛いだろうし、孫に希望通りの教育を受けさせたいと考える祖父母も多いだろう。

しかし、闇雲に資金を提供すると贈与税の心配もある。そんな悩みを解消する国の税制優遇制度が「教育資金の一括贈与に係る非課税措置」だ。平成25年(2013年)の制度スタート以来、利用者は着実に増加している。

非課税制度の概要

正式名称は「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」で、「平成25年4月1日から平成31年3月31日までの間、子ども1人あたり1500万円までの教育費としての贈与が非課税になる」制度を指す。

この制度を利用するにはまず、金融機関に「教育資金贈与専用口座」を開設する。贈与資金は、金融機関の子・孫(受贈者)名義の口座等で管理し、資金が教育費に使われたことを金融機関が領収書などによって確認・記録し、保存。口座などは、子や孫が30歳に達する日に終了する。

どこまでが教育費か

文部科学省のWEBサイトによれば、教育費とはおおむね以下のものが該当する。

(1)学校など(学校教育法上の幼稚園、小・中・高等学校、大学、大学院など)に対して直接支払われる次のような金銭
 ・入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費または入学(園)試験の検定料など
 ・学用品費、修学旅行費、学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など

(2)学校等以外に対して直接支払われる次のような金銭で社会通念上相当と認められるもの
 ・教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務の提供の対価や施設の使用料など
 ・スポーツ(水泳、野球など)または文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)その他教養の向上のための活動に係る指導や物品購入の対価など
 ・通学定期券代
 ・留学渡航費、学校などに入学・転入学・編入学するために必要となった転居の際の交通費

つまり、一般的に「教育費」とされるものに関してほぼ該当すると考えてよさそうだ。ただし、1500万円の枠の中で、塾や習い事の月謝などについては500万円が上限となる。

また、学校に対して直接支払う費用であっても、学校債や振込手数料は教育費とはいえないため認められない。教科書代や学用品費、修学旅行費、学校給食費なども、業者に支払う場合は非課税の対象にならない。

注意すべき点も

この制度の利用にあたって注意すべき点がある。

まず、贈与を受けた人が30歳になるまでに教育費として使い切らなければならない。制度の目的からすれば当然だが、1500万円までの贈与が無条件で非課税になるわけではなく、教育費として使いきれなかった分は贈与税の課税対象となる。例えば、現在の税率を前提とすれば、使い残った額が400万円なら33.5万円、600万円なら82万円という贈与税が課せられる。また、扶養義務者である父母や祖父母から生活費や教育費の贈与を「必要な都度」受けた場合、「通常必要と認められるもの」は、贈与税の対象にならない。

以上、制度の主な特徴をまとめてみたが、「贈与された分を使いきれなかった」などということのないよう、例えば一括贈与は使い切れそうな額にとどめ、不足分はその都度行う資金援助や年間110万円の通常の贈与非課税枠を使う、という選択も考えられる。

(QUICK資産運用研究所 高橋 一晃)

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