金融コラム 任天堂スイッチからAI時代の必需品に エヌビディア日本法人代表に聞く (2017/09/08)

株式市場では世の中の技術革新に合わせていくつも大きなテーマが立ち上がる。人工知能(AI)や自動運転、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」に医療や次世代ゲーム。米半導体大手のエヌビディアはこの多くの分野で技術の中核を担っている。

エヌビディアはゲームの画像処理半導体(GPU)のメーカーとして1993年に創業した。1999年1月22日に米ナスダックに上場したエヌビディア株の初値は1.75ドル、約20年が経過した今では170ドル前後と100倍にもなった。

足下では任天堂のゲーム機「ニンテンドースイッチ」などゲーム向けとデータセンターのサーバー向けのGPUが好調だ。エヌビディアの強さの源泉はどこにあるのか。日本法人の代表で米国本社副社長も兼ねる大崎真孝氏に聞いた。

ただの半導体メーカーではなくシステムまで一貫して手がける

――エヌビディアとはどんな会社でしょうか
「半導体のハードからシステムまで一貫して手がけるAIコンピューティングカンパニーだ。他の半導体のチップメーカー、システムを提供する会社などとは大きく異なる」
「当社の従業員は1万1000人で、そのうちエンジニアが8000人だ。ハードのエンジニア3500人に対してソフトのエンジニアは4500人。半導体のメーカーでここまでソフトのエンジニアを抱えている会社はいないだろう」

――会社の強みはどこにありますか
「ゲーム用のGPUの高い演算能力がスパコンなどにも使われるようになり、今ではAI開発の現場のプラットフォームになっている。AIの技術を開発するベンチャーたちが利用しているのも当社のプラットフォームだ」
「自動運転であれ医療であれ、AIの現場で起きているのは、多くのデータを学習しそれにより認知・判断するディープラーニング(深層学習)が主流だ。膨大なデータ量を扱うため、逐次処理のCPUよりも大規模並列処理のGPUが適している」

技術革新の早いAIの世界では専用品より標準品

(AI開発のプラットフォームになるエヌビディアのGPU)

――エヌビディアのGPUにはどんな特徴がありますか
「当社が提供しているGPUはAIの特定用途に向けた専用製品ではなく標準製品だ。今のAIの世界は技術革新の進化が早すぎて専用のチップを作り込んでもすぐ陳腐化してしまう。10~20年後にAIの進化のスピードが成熟化すれば特化型の半導体も活躍する場が出るかもしれないが、現状では標準製品がベストだろう」

――標準品である強みとは
「エヌビディアのGPUは『CUDA』という並列プログラミングの統合開発環境を提供している。エンジニアはスーパーコンピュータからロボット、自動運転車などに搭載されるGPUまで同じコードが使える。これがソフトを含めた標準環境を有する標準製品の強みでエヌビディアのすべての製品は同じソフトウエアが走る」
「CUDAは世界中の1000を超える大学の講座で教えられている。このCUDAを習得したコンピュータサイエンティストたちが昨今のAIの潮流を作っていると言っても過言ではない」

世界で引く手あまた、日本の技術をリスペクト

(エヌビディアが提供する自動運転車向けAI車載コンピューター)

――自動運転では欧米メーカー、トヨタとも提携しました
「実は自動車メーカーとの歴史は長い。10年前から車のカーナビの分野ではパネルの画像の部分を担当してきた。自動運転の技術が進んできてからメーカーと組み始めたのではなく、必然的な流れでの提携も起こっている。自動運転に関して既に100社以上のパートナーと提携をしている」

――大手企業から新興市場の企業までエヌビディアとの提携を発表しています
「先方や他社との関係もあり、発表されている提携はあくまで一部にとどまる。公表されているよりも多くの企業が当社の技術を利用している」

――今後、注力する分野はどこになりますか
「当社にとってAIは最重要分野だ。ただしゲームや映画、あらゆる分野での設計の現場での画像処理技術の分野も凄まじく成長する。環境配慮型都市のスマートシティーなどビジュアリゼーション(物や現象の可視化)とAIの融合といった新たな技術も生まれつつあり、エヌビディアは多くの分野に力を注いでいく」

――会社として日本市場をどう見ていますか
「当社は日本をアジアの一つの国ではなく、独立した『日本部門』として重要視している。それは日本の技術をリスペクトしているためだ。日本はゲームや自動車、医療、ロボットなど多くの部門で世界トップクラスの技術を持っており、まだまだ伸びていくだろう」

 

大崎真孝(おおさき・まさたか)

1991年近畿大学理工学部卒業後、半導体の製造・販売の日本テキサス・インスツルメンツ株式会社に入社。エンジニアと営業を経験した後、米国本社に異動して事業開発を担当した。2010年に首都大学東京経営学博士前期課程を卒業(MBA)、2014 年にエヌビディアに入社した。
 現在はエヌビディア日本法人代表兼米国本社副社長として日本におけるAI コンピューティングの普及に注力している。

【QUICKコンテンツ編集グループ:片野哲也】

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