金融コラム 猛暑到来、ビールに代わる注目銘柄は? (2017/07/25)

※この記事はQUICKのオプションサービス「QUICKエクイティコメント」に配信された記事を再構成しました。

さえないビール株

 ビール株がさえない。時価総額を競うアサヒ(2502)とキリンHD(2503)を見ると、アサヒは5月16日、キリンHDは6月6日に年初来高値を付けた後は上値が重い。24日こそ上昇したがサッポロHD(2501)は1~6月期の収益が市場予想を下回ったと伝わると、下げが加速した。いずれも海外事業に投資家の懐疑的な視線が注がれる。サッポロHDはベトナム事業で赤字を抱え、キリンHDはブラジル事業を売りに出した。アサヒは16年に買収した西欧のビール事業が貢献したとはいえ、新たに買収した中東欧5カ国の収益はこれからだ。

 激安販売がなくてもビールや発泡酒の消費量は猛暑で増えているようだが、それとは異なる要因で買いづらさが残る。となると代替的な猛暑銘柄に需要が生まれそうだ。

アイス、エアコン、蚊取り線香に期待

 ビールに代わる夏の食品と言えば、やはりアイスクリームだろう。最近では大人向けのアイスもすっかり定着した。約160年前の開国とともに日本に入ってきて、ともに日本での発祥地は横浜だという点でも共通する。だからというわけでもないが、ビール関連の代わりに個人の資金が向かいそうな銘柄として、アイス関連を挙げる市場関係者は多い。このところ「なめらか体験」を掲げ、手軽さでなく食感や味を強調したアイス菓子「パピコ」のテレビコマーシャルを増やしているのがグリコ(2206)だ。定番の「チョココーヒー」「ホワイトサワー」に加えて今年は「大人のメロン」も投入。顧客の年齢層の引き上げを狙う様子が見て取れる。

 このほかグリコはジャイアントコーン、アイスの実、パナップ、牧場しぼり、SUNAOと意外にアイス製品の品ぞろえは豊富。いずれも従来に比べて高級感を打ち出しているとみられ、顧客の年齢層拡大をねらっているようだ。一方、大人のアイスとして既に定着しているのは森永菓(2201)の「チョコジャンボモナカ」だろう。グリコと森永菓は6月前半に年初来高値を付けた後、利益確定の売りに押されていたが、このところ持ち直す展開。グリコは20日、森永菓は21日にそれぞれ5日移動平均が25日移動平均を下から上に突き抜ける買いシグナル「ゴールデンクロス」がチャート上に表れた。アイス銘柄への買いが加速するなら、いまのところ動意薄の井村屋(2209)にも株価に「あずきバー」の堅さが出てくるかもしれない。

 エアコン関連は上値追いの展開だ。ダイキン(6367)は24日に1万1905円まで買い進まれ、上場来高値を更新した。エアコンは各社とも新製品を投入するのは春。夏に最もよく売れるからだ。今年は猛暑で販売に期待がかかる。熱中症予防にはエアコンの活用を、と行政が呼びかけているのも追い風になるだろう。さらに日本のエアコンは家庭用、業務用とも省エネ性能に優れていることから、工場などでは初期コストが高くても導入する価値があると判断するケースが多いようだ。東南アジアなど、もともと冷房が必要な地域で、中国から引っ越してきた工場に取り付ける需要などもあるという。取り付け工事やメンテナンスを手掛ける日本空調(4658)は連日高値、日空調(1952)や三機工(1961)も高値圏で推移する。富通ゼネ(6755)も25日に発表する4~6月期決算の中身次第では、買いに弾みが付きそうだ。

 「虫よけ」も夏の風物詩。ヒアリ騒動で10日には1370円まで買われたフマキラー(4998)はいったん利益確定の売りに押されたが、再び1300円台を回復してきた。より夏の風情がある「蚊取り線香」を製造販売するアース製薬(4985)も11日に高値を付けた後に売られたが、ここ数日で下値の堅さが目立ってきた。暑すぎて昼間に野外で活動できず、夕涼みが流行するようなら蚊取り線香にも追い風になりそうだが、どうだろう。

タカラトミーは夏山に登るか?

 意外なところでは、タカラトミー(7867)に商機があるかもしれない。傘下のタカラトミーアーツが発売した「ビッグストリームそうめんスライダー・エクストラジャンボ」に期待がかかる。昨年発売した「ビッグストリームそうめんスライダー」の進化版という。都競馬(9672)が運営する東京サマーランドの協力を得て完成したという、ウォータースライダー型そうめん流しマシンだ。報道などによると、昨年発売したマシンは初回生産分が夏を待たずに完売、再生産分も全数出荷したという。今回は高さ76センチ、“走麺距離”は5メートルと巨大化した。一般家庭のテーブルにギリギリ乗るサイズという。希望小売価格は1万6800円と安価ではないが、同社のそうめん流しマシンは静かなブームになりつつあるようだ。

 一般に、おもちゃ会社の収益はクリスマスのプレゼント需要が発生する10~12月期に偏る傾向があり、タカラトミーにもそうした傾向が見て取れる。夏場はどうしても、おもちゃ屋よりも山へ海へと出かけてしまうケースが多いとみられ、7~9月期の業績は伸びにくいもよう。ただし、この収益が伸びにくい期間に何かヒット商品でひと山あれば、収益の大きな支えになるだろう。タカラトミーアーツは、缶ビールから注いだビールに生ビールのような泡を作り出すことができるビアグラス「ジョッキアワー」で、2012年の日本おもちゃ大賞のハイターゲット部門「大賞」を獲得。実は夏に強いおもちゃメーカーかもしれない。タカラトミーは「夏のおもちゃ」を新たな収益の柱にできるだろうか。

【QUICK情報・ナレッジ・開発本部コンテンツ編集G:山本学】

 

関連記事(金融コラム)
分配金利回り5%超、高利回り実現するインフラファンドの仕組みとは?
2017-08-09 13:53:52
ソフトバンク決算説明会LIVE 孫社長、60歳目前「自己採点は28点」
2017-08-07 18:11:46
ダウ初の2万2000ドル突破、トランプ政権発足後で最も上昇した銘柄は?
2017-08-03 11:26:28
「もう絶滅危惧種とは呼ばせない」 ディーリング収益化へ山和証の挑戦
2017-08-01 10:16:53
猛暑到来、ビールに代わる注目銘柄は?
2017-07-25 10:54:54