金融コラム ネットでの買い煽り、合法か違法か 弁護士に聞く、風説の流布と相場操縦 (2017/05/08)

 個人のインターネット上での発言が株式市場に影響を与える時代になってきた。著名な投資家の発言で株価が乱高下、その流れについていこうとする投資家も多い。一方、ネット上での発言は場合によっては違法行為にもつながる。

 ツイッターでは特定の銘柄について発言する「買い煽り」や「売り煽り」などが散見される。合法と違法の線引きはどこにあるのか。証券取引等監視委員会との対応などを手掛ける西村あさひ法律事務所の平尾覚弁護士に聞いた。

虚偽の事実での買い煽りは風説の流布に該当

――株取引に関してインターネットではどんな発言が違法になりますか
「金融商品取引法では風説の流布が違法行為になりえます。虚偽の事実を告げて株の買いや売りをあおる行為は風説の流布に該当すると思います。内容によっては刑法上の名誉毀損、信用毀損に該当するでしょう」

――「あの会社は今期の利益が2割増で好調」など事実だけで煽るなら違法にはなりませんか
「そのような事例では風説の流布には該当しないでしょう。もっとも『風説』とは嘘を意味しますが、法律上は虚偽である必要はなく合理的な根拠を欠く言説であれば足りるとされています」
「理論的には後に真実であることが判明したとしても言説をした当時、合理的な根拠がなければ風説の流布に該当し得ます。後に嘘であることが判明しても当時、合理的な根拠があると認められれば風説の流布には該当しません」

――「これから上がる」「上がりそう」などの表現はどうですか
「これらの表現自体を問題視することは難しいと思います。もちろん、同時に相場操縦的な売買を実際に行っていれば金商法に抵触します」

事実のつぶやきは合法、相場操縦には注意

――有名になった投資家(Aとする)が銘柄名だけをつぶやく、事実だけを述べている場合は
「結論から言うと、単につぶやいているだけなら投資家Aに何らかの法令違反が成立するとは言いがたいと思います」
「ただ、投資家Aが仲間の投資家とあらかじめ通謀し、仲間の投資家が売り買い繁盛であると誤解させるような取引(相場操縦)を行い、他方で投資家Aがその目的を援助するべく煽りを繰り返しているとなると、投資家Aにも相場操縦の共犯が成立し得ると思います」

――具体的にはLINEなどを使って仲間内で決めた銘柄を買い、ツイッターで不特定多数に向けてその銘柄が「上がる」などの発言で買い煽る行為はどうでしょうか
「ツイッターで発言するだけの煽り行為は直接的には違反の成否に関係せず、相場操縦とはならないでしょう。ただ、他の投資家を取引に誘引する目的で、売り買い繁盛であると誤解させる取引をした場合は相場操縦の罪が成立する可能性があります」
「相場操縦が疑われる場合、LINEなどのやり取りは誘因目的があるかどうかを認定する上で強力な証拠になると思います」

下品な表現は名誉棄損のほか侮辱罪も

――個人ではなく組織がリポートなどで上場会社に対して下品な表現をした場合は問題になりませんか
「例えば名誉毀損罪は具体的な事実の摘示が必要となります。下品な表現をする前提として摘示している事実を合わせて名誉毀損に該当すると議論することは可能です。そうすると、リポートを提出した組織は摘示した事実はいずれも真実であると反論することになると思います」
「他方、下品な表現は侮辱罪を構成し得ます。侮辱罪が成立するためには事実の摘示は必要ありません。法人に対する侮辱罪も成立し得るというのが最高裁の考え方です」

【QUICKコンテンツ編集グループ:片野哲也】

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