金融コラム ほぼ日上場、投資家にも人気 CFOに聞く「糸井ではなく会社に注目して欲しい」 (2017/03/17)

初値は公開価格の2倍超、糸井社長「ライバルはディズニー」


(オフィスは木目調の温もりのあるデザイン)

 

著名コピーライターの糸井重里氏が社長を務めるほぼ日(3560)が株式市場で人気を集めている。ジャスダック市場に新規上場した16日、ほぼ日株に買いが殺到して上場2日目の17日に公募・売り出し価格(公開価格、2350円)の2.2倍となる5360円で初値を付けた。
 糸井社長は上場後の記者会見で「ライバルはディズニー」と述べ、市場の人気について「そんなに美人じゃないって分かっている」と糸井節を見せた。ほぼ日とはいったいどんな会社なのか、元マッキンゼーでほぼ日の最高財務責任者(CFO)の篠田真貴子氏に聞いた。

顧客や信頼の蓄積を糸井氏個人でなく会社へ


(現在の主力商品はほぼ日手帳)

 

――上場した理由は

「個人のクリエイティビティだけで事業を行うと、本人が亡くなった後、主な事業が過去のクリエイティブの版権管理へと移ってしまうような例が多く見られる。そうならずに、本人が退いたあとも変わらず事業を継続させたい、というのが出発点です。ディズニーは今もクリエイティブを変わらず継続しており、参考になることがたくさんあると思っています」

「良くも悪くも社長の糸井に視線が集まりすぎている現状を変えたい。ほぼ日の事業は会社全体で行っているものですが、顧客や信用など蓄積しているものが糸井個人に集中してしまう懸念があります」
「糸井がいなくなった後も事業が存続できるよう、『会社』に注目してもらうために上場した面はあります。上場すれば会社が表に立つことが多くなり、四半期ごとの決算報告などアピールする場も増えます」

――マザーズではなくジャスダックに上場しました
「当社は高成長を追求しなければいけないマザーズとは違うと考えました。ただ、会社を大きくしていきたいという思いは当然にあり、将来は東証に上場したいと思っています」

――利益や成長を目指さないのでしょうか
「結果的に利益は必要だと考えています。『ほぼ日刊イトイ新聞』をはじめ、『ドコノコ』など人々が集まる場を提供するために資金や規模が必要で、その原資として利益を求める」

手帳は糸井社長を飛び越えて人気化、コンセプトは「良い時間を提供」


(手帳やアパレル、食品のほか土鍋まで扱う)

 

――売り上げの7割を占めるのがほぼ日手帳です
「主力商品の手帳は当社の糸井を知らない人が買う巨大なプラットフォームになってきました。当社サイト経由よりもロフトでの販売部数の方が多い。手帳のカバーにはきゃりーぱみゅぱみゅのPV美術を担当した増田セバスチャンさんなど多数のクリエイターが関与している」
「まだ大きなコストをかけていない海外ではブランド力のある『日本の文房具品』の中でも売れている手帳といった位置づけで、SNSを通して口コミで広がっています」

――手帳以外の成長戦略は何ですか
「ここ2~3年はアパレルや食品、手帳の前から扱っている腹巻やタオルを伸ばしていく。長期的にはサービスを開始したばかりの犬や猫をテーマにしたSNS『ドコノコ』や3月に初めて開催する大規模な物販イベントなどで成長していきたい」
「AR技術を使ったアースボールの開発も進めている。地球儀とスマホをあわせ、その地域の情報などを楽しめる新しい体験を提供できる。へき地に住む人がアースボールを使って世界を体験するという夢を持っている」

――糸井社長の社内での仕事の関与度はどれぐらいですか
「すべての商品やサービスに糸井が深くかかわっているわけではありません。糸井が中心になっているサービスは売り上げの5%程度です。糸井の仕事は将来的な構想や事業のスタートの部分での関与になっています」

――ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」は商品の紹介があり、広告と明示しない「ステマ」ではないかとの批判があります
「自社のサイトで他社製品を紹介、購入へと誘導しているわけではありません。自分のメディアで自社製品を販売しているだけなので、いわゆるステマとは次元が違います」

――糸井社長は泊まり込みの株主総会をしてみたいと話していました
「当社のコンセプトの一つが『良い時間を提供する』です。消費がモノからコトに変わっている今、大事な考えではないかと思っています。ただ、第一回の株主総会は普通のやり方を考えています。物販イベントなどと同様に株主総会も試行錯誤していきたい」

 

【QUICKコンテンツ編集グループ:片野哲也】

(QUICK NewsLine)

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