QUICKコンセンサスDI トランプ政権の誕生控え、企業は為替対応どうする? 製造業DIは上昇(1月調査) (2017/01/19)

製造業の業況判断DIが改善

 日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成している1月のQUICK短観(1月4~16日調査分、上場企業423社が回答)では、製造業の業況判断指数(DI)がプラス19となり、前月調査から5ポイント改善しました。非製造業DIは前回と同じプラス30となりましたが、金融を含む全産業DIは前回調査に比べ3ポイント改善のプラス27となりました。

 

 景況感は上昇に転じるも先行きは不透明?

 QUICK短観は、日銀が企業経営者の景況感を把握するために四半期に1度の割合で発表している「日銀短観」の傾向を把握するのに役立つうえ、株価との連動性もみられるため、市場関係者に注目される指標です。QUICK短観は毎月調査・公表されているため、企業の景況感をより細かく読み取ることができます。

 2016年12月14日に発表された12月の日銀短観は、大企業製造業の業況判断DIがプラス10と前回調査から4ポイント上昇しました。大企業製造業の業況判断DIは3月にプラス6まで低下し、6月、9月と3期連続で底這い状態が続いていましたが、ようやく上昇に転じました。ただし、将来の業況を示す先行きDIはプラス8と、2ポイントの低下となりました。 

一方、QUICK短観で製造業の業況判断DIをみると、2016年3月のプラス5を底に緩やかに上昇傾向をたどったものの、10月調査から3カ月連続で足踏み状態が続いていました。今回の調査では企業の景気に対する見方が改善したものの、今後はトランプ政権の動向しだいで企業のマインドが変化する可能性もあります。トランプ氏が米経済紙のインタビューでドル高をけん制すると、17日の外国為替市場で円相場が一時1ドル=112円台まで円高・ドル安が進行。円高がさらに加速すれば輸出企業の業績への悪影響が懸念され、景気の先行きに対して悲観的な見方が増えるかもしれません。

 

【QUICK短観・製造業の業況判断DIの推移】

2016年1月・・・・・プラス13
   2月・・・・・・プラス10
   3月・・・・・・プラス5
   4月・・・・・・プラス8
   5月・・・・・・プラス7
   6月・・・・・・プラス9
   7月・・・・・・プラス7
   8月・・・・・・プラス8
   9月・・・・・・プラス10
   10月・・・・・・プラス14
   11月・・・・・・プラス14
   12月・・・・・・プラス14
2017年1月・・・・・・プラス19

 

非製造業の雇用不足が悪化、円安による仕入れ価格が急騰

 生産・営業用設備の現状について全産業ベースの「過剰」から「不足」を差し引いたDIは、前月に比べて不足が拡大。2ポイント悪化するマイナス5となりました。非製造業もマイナス10で、12月調査分のマイナス8からマイナス幅が拡大し、一段と不足感が高まっています。

 雇用人員について、「過剰」から「不足」を差し引いたDIは、全産業ベースでマイナス36でした。こちらも前月に比べて不足感が悪化しています。非製造業はマイナス51となっており、非製造業における雇用不足はさらに深刻な状況を示唆しています。

 販売価格と仕入価格の現状は、「上昇」から「下落」を差し引いた販売価格DIについては金融を除く全産業でマイナス5となり、前月に比べて1ポイント上昇。対して仕入価格DIは、金融を除く全産業でプラス20となり、前月比で11ポイントも上昇しました。仕入価格が円安の影響で急騰する一方で、販売価格への転嫁が追い付いていない状況が伺われます。

 

為替変動の対応について従来通りが9割、「為替予約は利用しない」が半数超

 

 1月の特別調査では目先の為替変動の対応と、日本版スチュワードシップ・コードをふまえた投資家との対話の2点について質問しました。「2016年は為替市場が大きく変動。目先の為替変動に対して、どのように対応する見込みですか」と質問したところ、従来と同じスタンスとの回答が9割超を占め、目先については静観の構えのようです。また、「従来と同じように為替予約は利用しない」が58%と半数を超え、続いて「従来と同じ比率で為替予約を利用する」が34%となりました。

 日銀短観の12月調査によると、大企業・製造業の2016年度下期の想定為替レートは1ドル=103円36銭と、足元のレートとはまだ大きな開きがあります。しかし、トランプ氏はドル高をけん制するだけでなく、大統領選挙勝利後の初会見で中国や日本に対する貿易赤字に対して不満を述べました。赤字削減のためにドル安政策をとることになれば円高・ドル安が進む可能性もあり、企業も対応を迫られるかもしれません。

 

 

日本版スチュワードシップ・コード」2社以上と対話した企業が7割

 機関投資家に企業との対話を促す「日本版スチュワードシップ・コード」が制定されて間もなく3年が経過することから、「貴社は投資家と実際に対話することはありましたか」と質問。「2社以上と対話した」が70%を占めて最も多くなったものの、次いで「コンタクトすらない」が15%と続きました。ルールを遵守することで企業価値の向上や、株式投資の効率性改善につながると期待する企業が多く、日本の企業統治改革は進んでいるといえそうです。また、金融庁では運用会社が投資先としっかり対話できているかの監視を求めるなど、より実効性を高める改定案を3月末をめどにまとめるとしています。

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