アジア特Q便 香港株、来年はハンセン指数2万6500台まで上昇か 中国経済の回復で (2016/12/27)

 QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、フィリップ証券(香港)のルイス・ウォン(Louis Wong)氏がレポートします。 (※この記事は2016年12月19日にQUICK端末で配信した記事です。)

 2016年も残りわずかとなったことで、香港株と中国人民元建てA株のパフォーマンスを総括したい。今年年初から12月13日大引けの時点で、香港株式市場のハンセン指数は2.4%上昇した。可もなく不可もなし、といったところだ。一方、同期間にハンセンH株(中国本土企業株)指数は0.6%の上昇で、ハンセン指数を下回るパフォーマンスだった。これは中国の人民元建てA株の影響を大きく受けたためである。

 (出所:QUICK)

中国経済は回復している

 中国株式市場の上海総合指数は年初から12月13日大引けまでに10.9%下落した。もっとも、2017年は中国A株のパフォーマンスが今年を上回るだろう。主な要因は中国経済が回復の様相を呈することで、企業収益の増加が加速するとみられるためである。中国国家統計局が発表したデータによれば、今年1~11月の固定資産投資は前年同期比8.3%増だった。このうち、低迷が続いていた民間投資が同3.1%増と、1~10月から0.2ポイント伸びが拡大し、投資全体の61.5%を占めた。産業別では、第1次産業が21.9%増、第2次産業が3.3%増、第3次産業が11.3%増だった。第3次産業のうち、インフラ投資が18.9%増、ハイテク産業投資が15.9%増で、いずれも固定資産投資全体の伸びを上回った。

 一方、過熱する不動産市場に対する中国政府による引き締め強化により、1~11月の全国の分譲物件の販売面積は前年同期比24.3%増と、増加率が1~10月から2.5ポイント縮小した。販売額の増加率は37.5%増と、3.7ポイント減速。もっとも、不動産開発投資は6.5%増と、1~10月からわずか0.1ポイントの減速にとどまった。不動産開発企業による土地購入面積は4.3%減で、減少幅が1~10月から1.2ポイント縮小した。土地の成約額は21.4%増加し、1~10月から増加率が4.7ポイント拡大した。これらは不動産開発企業が引き続き積極的に土地の保有を増やしていることを示唆する。全国の分譲物件の売り出し面積は11月末時点で6億9000万平方メートルで、10月末時から427万平方メートル減少した。9カ月連続で減少し、引き続き在庫調整が進んでいることが示された。

  一方、11月の社会消費品小売総額は前年同月比10.8%増だった。増加率は10月と比べ0.8ポイント拡大。市場予想は10.2%増だった。1~11月の累計では前年同期比10.4%増で、1~10月から0.1ポイント拡大。また、全国のインターネット販売小売額が26.2%増と1~10月から0.5ポイント加速し、中国の全体的な消費が引き続き安定していることが示された。一方、11月の全国の一定規模以上(年間の主要業務収入2000万元以上)の企業による工業生産は前年同月比6.2%増で、伸びは10月から0.1ポイント加速した。ハイテク産業が10.6%増、設備製造業が10.5%増と、全体を上回るピッチで伸び、工業セクターの産業構造が引き続き高度化していることが示された。対外貿易では、11月の輸出入総額が前年同月比8.9%増だった。このうち、輸出額が5.9%増と、3.4%減だった10月から顕著に回復した。輸入額は13%増で、増加率が10月から9.8ポイント拡大した。

 他方、11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.3%上昇した。上昇幅が10月から0.2ポイント拡大し、インフレ傾向の強まりを示した。1~11月のCPIは前年同期比2%上昇し、中国政府が設定した3%のインフレ目標にはまだ遠い。11月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比3.3%上昇と、上昇幅が10月から2.1ポイント拡大した。また、1~11月では前年同期比2%減と、減少幅が1~10月から0.5ポイント縮小。工業セクターでデフレが徐々に後退し、企業の収益改善につながりつつあることが示された。1~10月の全国の工業セクターにおける一定規模以上の企業の利益は前年同期比8.6%増と、増加率が1~9月から0.2ポイント拡大した。また、工業企業(一定規模以上)の主要営業収入100人民元当たりのコストは85.85元と、前年同期から0.17元低下した。主要業務利益率は5.71%と、前年同期から0.25ポイント上昇した。さらに、工業企業(一定規模以上)の負債比率は10月末時で56.1%と、前年同月から0.7ポイント低下。完成品在庫は前年同月比0.3%減となり、連続7カ月減少した。

PMIは4カ月連続で景気拡大期を示す

 今後の展望に関しては、中国の製造業の見通しは引き続き良好だ。11月の中国政府発表の製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.7と、4カ月連続で景気拡大期を示した。一方、同月の財新中国製造業PMIは10月から0.3ポイント低下して50.9。もっとも、2014年7月以来の高い水準は維持しており、5カ月連続で景気拡大期を示している。

 全体的に見て、データはいずれも中国経済の回復を示唆している。(各データの)増加ピッチが全般に加速傾向にあり、それにより企業収益が改善しつつある。一方、中国政府が不動産市場に対する過熱引き締めを実施することで、不動産市場から株式市場への資金の流入が促進される見通しで、このことは株式市場に有利となるだろう。また、第19回中国共産党全国代表大会(略称は19大)が来年秋に開催される予定で、多くの改革措置が打ち出される見通しであることから、このことも株式市場にとってプラスとなるもようだ。

上海総合指数は2割超の上昇余地がある

  バリュエーションの改善が進み投資家のリスク選好が強まるとの予測から、筆者個人としては、上海総合指数の目標値を3880に設定する。この予測目標が実現する場合、上海総合指数に2割超の上昇余地があることになる。一方、ハンセン指数については目標値を2万6500、ハンセンH株指数は1万1800に設定する。それぞれ足元の水準から2割前後の上昇余地があることになる。

 (出所:QUICK)

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