アジア特Q便 インドネシア、ヤマハ発・ホンダの二輪カルテル疑惑で審理開始 11月末までに裁決か (2016/10/18)

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はインドネシアの現地記者アディ・ビナルソ氏がレポートします。 (※この記事は2016年10月11日にQUICK端末で配信した記事です。)

ヤマハ発動機、ホンダがカルテル行為を違反しているとの疑惑

インドネシアの事業競争監視委員会(KPPU)は、同国のスクーター市場で日本のバイクメーカーであるヤマハ発動機(7272)とホンダ(7267)がカルテル行為をしているとの疑惑に関してさらなる証拠を探している。この重要案件の審理は始まったばかりだ。

インドネシアの反トラスト規制当局であるKPPUは7月、2社によるオートマチック・スクーターの価格調整疑惑について事前ヒアリングを開始した。KPPUは当時、ヤマハ発とホンダの幹部が交わした電子メールなど、価格調整の証拠をつかんでいると説明していた。

KPPUは10月に入り、同案件の審理を開始した。事前ヒアリングでは、ヤマハ発とホンダの幹部に加え、インドネシア二輪車製造業者協会(AISI)のグナディ・シンデュウィナタ会長にも聴取し、審理するだけの十分な証拠があると判断した。

KPPUによると、2014年と2015年に二輪車市場全体の売上高は18%減少しているにもかかわらず、ホンダとヤマハ発の利益は同期間に2年連続で拡大しているという。

ホンダとヤマハ発動機でインドネシア国内シェア約96%

両社は、それぞれ現地子会社ヤマハ発・モーター・マニュファクチャリング・インドネシア(YMMI)とアストラ・ホンダ・モーター(AHM)を通じて、実質的にインドネシアの二輪車市場を支配している。AISIのデータによると、ホンダの市場シェアは67%、ヤマハ発の市場シェアは29%となっている。

(出所:本田技研工業、ヤマハ発動機決算書より作成)

KPPUの申し立てによると、ホンダとヤマハ発はスクーターの価格を生産コストの約2倍に引き上げているという。KPPUはさらに、ホンダとヤマハ発が二輪車市場での支配的な地位を利用してこうした価格水準を維持し、消費者は両社の二輪車に対して本来よりも高い金額を支払う負担を強いられていると指摘する。両社はこの疑惑を否定している。

KPPUのヘルミ・ヌルジャミル調査官は4日公表した声明で「我々は他の二輪車メーカーに審理で証言するよう要請する方針だ。二輪各社がどのような事業展開を強いられているのかを知りたい」と述べた。ヘルミ氏は、KPPUが11月末までに裁決を下すとの見通しを示している。

最大1000億ルピアの罰金か?

インドネシアの独占禁止法では、カルテル疑惑が証明された場合、企業は最大250億ルピアの罰金を科されることになっている。何らかの犯罪行為が明らかになった場合は、罰金額は最大1000億ルピアまで引き上げられる可能性がある。

ホンダとヤマハ発は委員会の裁決に対して、地方裁判所または最高裁判所に異議を申し立てることができる。

AHMのアフマド・ムヒブディン副部長(コーポレート・コミュニケーション担当)は「価格を操作することは不可能だ。販売実績に関しては、当社が積極的にプロモーション活動に取り組んだことによるものであり、それはヤマハ発も同じだ」とコメントしている。

YMMIのディニシウス・ベティ副社長は、KPPUは不正確な数字を基にこの件を申し立てていると指摘。そのうえで「最も大きな間違いの一つが、当社の収益だ。KPPUは当社の収益を47%増としているが、実際はわずか7.4%増だ」と指摘している。

ベティ副社長は「この件が顧客の当社に対するイメージに影響を及ぼし、販売が低下している。この審理が今後も続く場合、当社の疑惑が晴れることだけを期待する」と述べた。

KPPUがインドネシアの二輪車業界を調査したのは今回が初めてだ。インドネシアにおける同業界をめぐっては、タイやマレーシアなどの近隣諸国と比べて競争が少ないことが明らかになっていた。

今年に入ってから、KPPUは4月に肉牛飼育業者と輸入業者32社に対して、供給量を減らすことで牛肉の価格を操作したとして罰金を科した経緯がある。

【翻訳・編集:NNA】

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