QUICK短観 衝撃の結果?仮想通貨技術「活用することなさそう」7割に(9月調査) (2016/09/15)

日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成している9月のQUICK短観(9月1~12日調査分、上場企業421社が回答)では、製造業の業況判断指数(DI)がプラス10となり、前月調査から2ポイント改善しました。改善は2カ月連続となります。一方、非製造業DIは前月比2ポイント悪化のプラス29となり、結果、金融を含む全産業DIは前回調査に比べ2ポイント上昇のプラス22となりました。

景況感は徐々に底入れ?

QUICK短観は、日銀が企業経営者の景況感を把握するために、四半期に1度の割合で発表している「日銀短観」の傾向を把握するのに役立つと共に、比較的、株価との連動性もみられるため、市場関係者にも注目されています。

過去の日銀短観の推移を「大企業製造業」の業況判断DIでみると、次のようになります。
2014年3月・・・・・・プラス17
   6月・・・・・・プラス12
   9月・・・・・・プラス13
   12月・・・・・・プラス12
2015年3月・・・・・・プラス12
   6月・・・・・・プラス15
   9月・・・・・・プラス12
   12月・・・・・・プラス12
2016年3月・・・・・・プラス6
   6月・・・・・・プラス6

このように、2014年3月のプラス17をピークにして、2015年6月まで一進一退を続けた後、2016年に入ってから下落傾向が強まりました。

一方、直近のQUICK短観をみると、製造業の業況判断DIの推移は、次のようになります。
2016年3月・・・・・・プラス5
   4月・・・・・・プラス8
   5月・・・・・・プラス7
   6月・・・・・・プラス9
   7月・・・・・・プラス7
   8月・・・・・・プラス8
   9月・・・・・・プラス10

今回の日銀短観は、7~9月期の景況観をベースにしたものを10月に公表します。そこで、日銀短観と平仄を合わせる意味で、2016年に入ってからのQUICK短観を3カ月の平均値でみると推移は以下のようになります。
2016年1~3月・・・・プラス9
   4~6月・・・・プラス8
   7~9月・・・・プラス8

このようにみると、10月3日に公表される9月の日銀短観の結果は、7月に公表された4~6月分の数字とほぼ変わらず、横ばいに近い数値が出ることを示唆しています。ただ、QUICK短観をみると、7月のプラス7から、8月、9月と2カ月連続して改善している点、DIの水準がプラス10に乗せたことなどから、企業の景況感は徐々に改善の兆しがみえつつあると言えそうです。

製造業の収益環境が悪化

生産・営業用設備については、全産業ベースでみると、「過剰」の割合から「不足」の割合を差し引いたDIは前月に比べ4ポイント悪化のマイナス5になりました。製造業は若干過剰気味ですが、非製造業は不足感が強く、DIは前月に比べ4ポイント悪化のマイナス10になりました。

一方、雇用の過不足をみると、全産業ベースでは前月に比べ2ポイント悪化のマイナス35でした。製造業の不足感もさることながら、非製造業での不足感がマイナス49まで悪化しています。日本企業というと製造業が目立ちますが、すでに産業構造ではサービス産業の比率が高いので、非製造業での雇用不足は、経済全体にとってマイナスの影響を及ぼす恐れがあります。

また販売価格について、「上昇」の割合から「下落」の割合を差し引いたDIは、金融を除く全産業ベースで、前月に比べて2ポイント上昇のプラス6。仕入価格DIは、金融機関を除く全産業ベースで、前月に比べて2ポイント上昇のプラス6になりました。

全体でみれば、仕入価格が上昇する一方、販売価格も上昇しているので、企業の収益環境はそう悪化していないようにみえます。ただ、製造業についていえば、仕入価格DIがマイナス3であるのに対し、販売価格DIがマイナス11。前月比でみると、仕入価格DIが大きく上昇しました。販売価格に比べて仕入価格が上昇すれば、収益環境は悪化します。今後の為替相場の動向も踏まえたうえで、この点は要注意といえるでしょう。

マイナス金利深掘り、企業活動に中立要因か

9月の特別調査では、①日銀のマイナス金利深掘りは事業運営にどのような影響がありそうか、②仮想通貨の技術を活用することについてどう考えるか――の2点について質問しました。

日銀が9月20~21日に開催する金融政策決定会合では、これまで行ってきた金融政策についての「総括的な検証」が発表されることになっており、その内容が注目されています。現状では、金融緩和につながる内容になるのではないか、という見通しが多いようですが、企業の事業運営という点でみると、金融緩和政策のひとつである「マイナス金利のもう一段の深堀り」については、効果がほぼ限られるとの結果が出ました。

特に金融機関にとっては、マイナス金利が収益減につながる恐れがあります。アンケート結果をみると、「良くも悪くも影響はなさそう」との回答が65%と大半を占めました。一方、「良い影響」(17%)と「悪い影響」(18%)はほぼ同率になっています。

全体的にみた場合、マイナス金利の深堀りが企業経営に及ぼす影響は、ほぼニュートラルと考えられます。ゆえに、それはマーケットにとってある種、カンフル剤的な効果はあるかもしれませんが、実体経済に直接、何らかの影響を及ぼすかと言われると、いささか心許ない部分があることは否定できません。

仮想通貨技術の活用に消極的な意見

次に仮想通貨技術に関する質問です。ビットコインをはじめとする仮想通貨と、それを支える技術(=ブロックチェーン)に対する関心が高まっています。すでにリアル店舗でも仮想通貨による決済が行われており、今後、現金通貨に取って代わる新しい決済手段になる可能性が高いと期待されています。

ただ、アンケートによると「活用することはなさそう」との回答が70%に上り、「すでに活用している」と「将来的に活用することが決まっている」はそれぞれ1%にとどまりました。「将来的に活用する可能性はある」は29%でした。

まだ、ブロックチェーン技術に対する認識が広まっていないということも考えられますが、いずれにせよ仮想通貨を普及させるためには、幅広く認知させるための啓蒙が必要になりそうです。

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