アジア特Q便 台湾の日月光とセキ品、ついに経営統合へ 競争関係は維持 (2016/06/29)

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は台湾の現地記者、李臥龍(リー・ウォーロン)氏がレポートします。※この記事は2016年6月6日にQUICK端末で配信した記事です。

経営統合…対立構造から一転

半導体の後工程(パッケージング・テスト)で台湾の二大メーカーである日月光(ASE、コード@2311/TW)、セキ品精密工業(SPIL、コード@2325/TW)が5月26日、対立を打ち破って株式交換に関する覚書に調印した。両社が共同で新しく持ち株会社を設立し、台湾最大の半導体パッケージング・テストのメーカーとなる。
 双方はこれまで9カ月にわたって対立してきたが、今回、ようやく握手をし、競争を協力に変え、ウイン・ウインの関係を構築することを決定した。

交換比率は新会社2:日月光1

双方は今のところまだ新しく設立する持ち株会社の名称を決定していないが、株式交換については合意に達している。新会社は日月光が主導権を持ち、その会長には日月光グループの張虔生会長が就任すると見られている。取締役には日月光から呉田玉営運長、董宏思財務長、セキ品から林文伯会長、蔡祺文総経理などが就任する見込みで、詳細は1カ月以内に確定する予定だ。
 新会社は1株55台湾ドルの現金で、日月光が現在保有しているセキ品の株式33.28%、およびセキ品の他の株式を買い取る。
 また、日月光は普通株1株を新会社の0.5株と交換する。これによって減資を進め、1株当たりの利益を向上させる。新会社の創設後、日月光、セキ品は同時に台湾とアメリカの株式市場での上場を廃止し、改めて新会社が台湾、アメリカで株式を上場する。
 台湾の半導体業者によると、セキ品の林文伯会長は新会社に取締役として入ることに正当性をもたらすため、セキ品の株式を売却していったん退場した後、個人または投資会社の名義で再び新会社の株式を購入する予定だという。ただし、この情報については、セキ品からの確認は取れていない。
 消息筋によると、日月光が今回のセキ品買収で使う資金の総額は1700億台湾ドル(約5600億円)に達するもようだ。これに関係する資金は、関連会社の株式の一部を売却するほかは、大部分を金融機関の協調融資に求めることになる。

競争関係は良好に…中国、米国の動向に注目

日月光の張虔生会長は、将来、新しい持ち株会社は日月光とセキ品の株式を100%保有するが、両社は平等な兄弟会社であり、今後は「兄弟登山、各自努力(兄弟の登山は、各自で努力する)」という良性の競争方式を採用し、共同で持ち株会社に最大の利益をもたらし、さらには半導体産業の競争ポテンシャルを高めることに努めるが、これは社会が日月光に期待していることでもある、と指摘した。
 一方、日月光を敵から友に変えたセキ品の林文伯会長はこの決定について、主に張虔生会長が、セキ品のすべての経営チームと従業員を留任させ、既存の組織、賃金、福利厚生、人事規定を保留し、セキ品の独立経営を維持すると約束したことが、非常に重要な転換の契機になったと語っている。
 日月光とセキ品が双方の対立という難関を突破したことは、台湾の半導体パッケージング・テスト産業の地位のさらなる向上に寄与する。両社は今後、台湾の公平交易委員会(公正取引委員会に相当)に経営統合の申請を提出することになるが、すでに敵対的買収から合意による合併に転じているため、台湾当局としてもこれを認める方向に傾くと予測されている。ただし、ハイエンドのパッケージング分野でシェアが85%に達することから、将来、アメリカと中国がこれを認めるかどうかは、今のところやはり不確定要素が大きい。しかし、中国の江蘇長電科技(コード@600584/SH)や米国のアムコア・テクノロジー(コード@AMKR/U)といった他のパッケージング・テストのメーカーに対しては、より大きなプレッシャーが形成されることになるだろう。

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