金融コラム 売買単位の統一 「わかりやすい市場」への取り組みとは? (2016/06/22)

2018年10月より、売買単位は100株へ統一される

 2018年10月1日より、東京証券取引所をはじめとする全国の証券取引所で株式の売買単位が100株に統一されることはご存じでしょうか。現在、株式の取引単位は100株と1000株の2種類ですが、売買単位統一によって投資家のさらなる利便性向上が図られます。

 そもそも、「単元株制度」とはどのようなものでしょうか。単元株とは、通常の株式取引で売買される売買単位のことです。一定の株数が1単元となり、基本的に売買は単元株数単位となります。たとえば、株価500円で、1単元100株の銘柄の最低購入代金は500×100=50,000円となります。

多いときには9種類もの売買単位が存在!?

 さて、現在1単元は100株と1000株の2種類ですが、かつて多いときには9種類もの単元株があり、誤発注等の原因になる可能性が指摘されていました。ではなぜ、こんなにも売買単位の種類が多かったのでしょうか。

 この疑問を紐解くには、少し株式取引の歴史を振り返ってみる必要があります。1982年の商法改正により、「単位株制度」というものが導入されました。株券に金額の表示があるものを「額面株式」といいます。額面金額は企業が最初に株券を発行した際の金額を表し、「単位株制度」は株券の額面合計が5万円になるように1単位が決まります。つまり「1単位の株数=5万円÷その発行会社の株式の額面金額」で、額面50円ならば50,000÷50=1000株単位、額面500円ならば50,000÷500=100株単位となります。当時、額面金額には20円、50円、500円、50,000円の4種類が存在していました。

 その後、2001年の商法改正により、「単位株制度」は「単元株制度」へ移行することになります。2001年以前、企業は先ほど解説した「額面株式」と額面金額の定めがない「無額面株式」のどちらかの形態を選ぶことができました。これが2001年の商法改正により「額面株式」は廃止され「無額面株式」に一本化されます。同時に、「無額面株式の発行価額は5万円を下ってはならない」という規制が撤廃され、株式の発行価額に対する制限はなくなりました。額面制度の廃止により、「単元株制度」では、企業が自由に最低売買単位(単元)を設定できるようになったため、多数の売買単位が混在することになったのです。

 売買単位が何種類も存在する市場は国際的にも少数であり、投資家の利便性を低下させる一因となっていたため、全国の証券取引所は2007年11月、「売買単位の集約に向けた行動計画」を公表し、売買単位の統一を図ります。2007年11月当時、日本の市場には1株、10株、50株、100株、200株、500株、1000株、2000株の8種類もの売買単位が混在していました。これだけ売買単位が多いと、ある銘柄を購入するとき「えーと、この銘柄の売買単位は○○株だから、最低購入金額は・・・」などといちいち確認する必要がありました。これが投資家の利便性低下の一因であり、また誤発注のリスクもあったことから、売買単位の統一が図られたのです。

売買単位の統一が与える影響は?

 売買単位の統一にあたって、発行企業側のメリット・デメリットはどういったものがあるのでしょうか。まずメリットですが、単純に1000株単位の銘柄が100株単位に変更した場合、最低購入代金が10分の1になりますので、流動性の向上・取引の活性化が期待されます。株式分割を行うのと同じような効果が得られるわけです。ただし、元の購入水準を維持するために株式併合が行われる場合はこの限りではありません。反対にデメリットですが、管理コストの増大が挙げられます。最低購入代金が下がることで、今まで高くて手を出せなかった個人投資家等が増え、結果的に株主の管理コストが増大することが懸念されます。

 個人投資家にとっては大きなメリットがあります。まず、最低購入代金が下がることが挙げられます。たとえば下記の銘柄では、今まで1単元購入するのに100万円、200万円とかかっていたのが、個人投資家でも手の届きやすい金額まで下がります。

 また、銘柄ごとに何株単位かを確認する必要がなくなり、売買をする際に、最低購入代金がわかりやすくなります。

 2014年の4月より、売買単位は100株と1000株の2種類に集約されています。そして2018年の10月には100株単位に統一されます。2016年6月1日現在、78.3%にあたる2,740社(単元変更開示済み企業を含む)が100株単位への変更を終えており、残る759社も順次100株単位へ変更されます。2018年10月以降は、単純に「株価×100」をすれば最低購入金額が求められるわけです。この利便性の向上が株式市場の活性化につながっていくか・・・注目したいところです。

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