金融コラム 一人勝ち状態の東証マザーズ指数、上昇の原因を探る! (2016/05/11)

東証マザーズ指数が力強い値動きを見せています。2月中頃までは日経平均株価とほぼ連動する形で推移していましたが、2月12日に年初来安値を付けた後は5月まで急激な伸びを見せています。他指数は2015年末との比較で10%前後安い値で推移しているのとは対照的です。

2/12終値の667.49と比較し、先週末5/6終値の1180.38はほぼ77%増。2月中旬までは日経平均株価と相関する形で動いていましたが、以降は一進一退を続ける他指数をよそに独走状態が続いています。

全体的に好調なマザーズ銘柄

この間の指数を押し上げている要因は何でしょうか。多くの報道で取り上げられているのが、そーせい(4565)の好調な株価です。2月中旬に10000円台で推移していた株価は5/9には25000円を突破、この間ほぼ150%増と急騰しました。マザーズ上場銘柄で時価総額と売買代金の第1位、まさにマザーズを代表する銘柄となりました。

東証マザーズ指数に対する寄与度も高いため「指数の上昇はそーせいの急騰が原因」と見られがちですが、他業種の銘柄も好調に推移しています。年初来安値の2/12時点と、先週末5/6時点の業種別の時価総額の推移が下記のグラフです。

創薬・バイオが好調な医薬品は127%増、時価総額で4割程度を占めるそうせいの影響も大きいですが、医薬品の他銘柄も時価総額の上昇が目立ちます。また、サービス業、情報通信業、精密機器など他業種についても、医薬品ほどではないですが急騰した結果、東証マザーズ指数の上昇に繋がりました。

マザーズを賑わす「テーマ銘柄」

各業種の内訳を目を通してみると、いわゆる「テーマ銘柄」の急騰が各業種の時価総額を押し上げているようです。

サービス業で好調なのはブランジスタ(6176)です。こちらは「越境EC」関連として取り上げられて急騰した銘柄で、いまやサービス業ではミクシィ(2121)に次ぐ時価総額を誇ります。越境ECとは「国境を超えた電子商取引」、すなわち中国などに住む外国人をターゲットにインターネット商売を行うことで、そのポテンシャルはインバウンド以上とも騒がれています。

また、情報・通信業の時価総額トップはジグソー(3914)、こちらは「人工知能」関連に取り上げられています。人工知能といえば、グーグルが開発した囲碁プログラム「AlphaGo」が今年3月に韓国のトッププロ棋士を破る快挙を達成しました。囲碁プログラムが人間に勝つのは困難であるとの常識を覆す結果で、人工知能への期待が急速に膨らむ要因となりました。

上記以外でも、「民泊」「自動運転」「VR」「フィンテック」などの関連銘柄が買われており、材料が入る度に関連するテーマ株が大きく上昇する傾向にあります。2016年に入って日本経済全体の成長を示す材料が乏しい中で、高成長を期待できる銘柄に人気が集中したとみられます。

東証マザーズ指数は他指数と比べて時価総額が少ないため、個別銘柄の株価動向が指数の動きに影響されます。その結果、個別銘柄への期待の風がふくほど、指数もまた上昇気流に乗るという動向が続いています。

時価総額が大きく変動するマザーズ銘柄

テーマ株の躍進を受けて、マザーズ指数の主要銘柄もここ3か月で大きく様変わりしています。以下は、5/6時点のマザーズ時価総額ランキングと、2/12時点からの順位変動の表です。

東証マザーズ 時価総額ランキング(5/6時点) ※単位:百万円
順位 銘柄名 業種 時価総額 2/12時点 順位変動
時価総額 順位
1 そーせい 医薬品 412,617 183,375 3 +2
2 ミクシィ サービス業 319,901 254,151 1 -1
3 サイバダイン 精密機器 302,638 188,866 2 -1
4 アキュセラ 医薬品 151,803 54,410 4 ±0
5 ジグソー 情報・通信業 128,455 26,304 11 6
6 インベスターC 建設業 112,459 53,898 5 -1
7 ブランジスタ サービス業 106,126 16,386 29 +22
8 サンバイオ 医薬品 70,597 30,755 10 +2
9 ヘリオス 医薬品 69,789 37,191 6 -3
10 ナノキャリア 医薬品 65,989 33,123 9 -1
11 アカツキ 情報・通信業 60,622
12 グリーンペプタイド 医薬品 53,946 11,992 46 +34
13 モルフォ 情報・通信業 52,009 20,677 19 +6
14 OTS 医薬品 48,810 33,226 8 -6
15 UBIC サービス業 46,870 21,630 16 +1
16 アンジェスMG 医薬品 43,596 13,062 39 +23
17 JIA 証券商品先物 43,451 19,411 21 +4
18 じげん 情報・通信業 43,266 24,036 14 -4
19 イトクロ サービス業 40,257 24,630 13 -6
20 FFRI 情報・通信業 36,622 36,348 7 -13

アカツキ(3932)は3/17に新規上場

ここ数か月で時価総額ランキングは目まぐるしい変化を見せています。ジグソーブランジスタグリーンペプタイド(4594)などは大きくジャンプアップし、上位に食い込みました。他銘柄にも急激な順位変動が見られます。

また、時価総額が500億円以上の企業が増加したことにも注目です。時価総額500億円以上であることは、ファンドや海外投資家が参入し出す事と、東証一部鞍替えの条件の一つである事から、小型株であるか否かの一つの目安とされています。すなわち「脱小型株」を達成した銘柄が、ここ3か月で5銘柄から13銘柄に急増しました。時価総額250億円以上500億円未満の「脱小型株予備軍」が6銘柄から19銘柄に急増した点も見逃せません。

「指数先物の取引開始」「そーせいの一部鞍替え」は要チェック

この動きに影響を与えるのが7月19日に予定されている「東証マザーズ指数先物の取引開始」です。先物導入によって、マザーズ指数をターゲットにした裁定取引が活発化や、海外投資家などからの積極的な参入が見込まれます。「脱小型株」が増える事は個人投資家以外の現物取引の対象銘柄が増加している事を意味し、資金が流入しやすい土壌が形成されつつあると言えます。そのため、上記の「脱小型株予備軍」についても時価総額を睨んだ値動きが予想されます。

一方で、先物導入によって、投機的な思惑の取引(スペキュレーション取引)が入り混じることが予想されます。他指数よりも時価総額が小さい東証マザーズ指数にとって、乱高下の原因ともなる諸刃の剣です。

また、もう一つマザーズへの影響が懸念される事があります。それは、そーせいが今秋の東証一部鞍替えを申請していることです。そーせいはマザーズの売買高トップを誇る銘柄で、時価総額も大きなウェイトを占めています。基準価格が調整されるため指数に直接のインパクトはないものの、その後のマザーズ全体の動きは不透明です。

これらイベントは既に周知されているため現在の株価に織り込まれている可能性も十分に高いです。とはいえ、多くの投資家が注目している一大イベントであることは間違いなく、前後の動向には注意が必要です。

編集:QUICK Money World

関連記事(金融コラム)
「トランプ大統領の弾劾の可能性は低い」─ガラマニ氏:SGHマクロ
2017-05-17 15:55:52
ロシアやブラジル国債は「オーバーウエート」、米国債は「アンダーウエート」 ティー・ロウ・プライスのウィース氏
2017-05-17 08:43:23
世界的サイバー攻撃 「問題深刻、脆弱性狙われたら防げず」ー高野氏:スプラウト
2017-05-15 08:14:30
日経平均2万1000円まで上値余地 ステート・ストリートの田畑氏
2017-05-12 16:52:35
AIが見る決算、マクドナルドはポジティブ トヨタはネガティブ
2017-05-11 08:33:39