金融コラム 「マイナス金利」はまだまだ話題…足元では「スティグリッツ教授」への関心浮上 (2016/03/16)

 

トレンドワードは、Twitterやブログから金融市場に関連する話題(トピック)を探して、ランキング形式で表示するツールです。たいていのトピックは数日でランキングから消えていますが、今年の2月、ほぼ毎日上位にランクインしているトピックがありました。それは「マイナス金利」です。

マイナス金利についておさらい

2016年1月29日の日銀金融政策決定会合で「黒田総裁」を含む、複数の委員が賛成(賛成5反対4)したことで、「マイナス金利」の導入が決定されました。その結果を受けて、当日の「ドル円」相場は、発表前には、118円台後半だったものが、一時は121円台を付け、その後119円台前半まで下落するなど大荒れの相場となりました。

さらに、一般的には、「マイナス金利」導入により、日米の金利差が拡大するため、円安方向に動きやすいのですが、新興国を中心とした景気減速懸念から、好調と言われていた米国経済についても悪化懸念が台頭し始めたことで、米国債の金利も低下し、投機筋の円買いも相まって、急激に円高が進みました。その結果、2月24日、衆院の財務金融委員会で日銀の「黒田総裁」は金融政策について「今後とも量・質の面での追加緩和も選択肢」と円高をけん制する発言を行っています。

 そして、「マイナス金利」導入は、当然ながら、外国為替市場だけでなく、債券市場へ影響を与え、日本10年物国債の利回りは、マイナスの水準まで低下しました。国債の利回りがマイナスになるということは、満期まで保有して得られる利子と元本よりも高い価格で、当該債券を投資家が買っているということなります。

何故、損をするはずの債券を投資家は買っているのでしょうか。 理由は、「マイナス金利」と量的金融緩和によるものです。日銀の言う「マイナス金利」とは、日銀当座預金の一部に0.1%のマイナス金利を適用するというもののため、銀行を中心とした機関投資家は、「マイナス金利」が適用される部分の資金を債券などに向かわせました。加えて、量的金融緩和政策により、日銀が国債の買入れを行うため、国債の利回りがマイナスになっている状況下でも買いやすい環境になっています。

 さらに、「マイナス金利」の影響は、金融市場だけでなく、個人の預金やローンにも波及しています。日銀による「マイナス金利」発表以降、市場での運用が困難になった、メガバンクなど多くの金融機関で、普通預金金利や定期預金金利が限りなくゼロに近い水準まで引き下げられました。一方で、住宅ローンなどのローン金利は引き下げの方向にあります。

 このように、1月下旬に決定された「マイナス金利」ですが、金融市場や、預金金利、ローン金利など、徐々に影響範囲が広がっていったため、twitterやブログで話題となり続けていると言えます。

話題のキーワードから市場の関心がどこにあるのかを把握

ちなみに本日もマイナス金利が話題ですが、前日に日銀の金融政策会合の結果発表があったこと、黒田東彦日銀総裁が16日に国会答弁をしたこともあって、議論が続いているようです。国会で総裁は「マイナス金利が-0.5%まで下がるどうかについて  「理論的な可能性はそういった余地ある」と発言したと報じられています。

twitterやブログで話題となり続けているということは、市場の関心がそこにあると言えます。そして、今、市場が何に注目しているのかを把握することは、未来の相場を予測する上で、重要なファクターになります。例えば、少し前の話になりますが、ギリシャの債務問題が表面化した際に、その支援策がまとまるか、ユーロ圏から離脱するか否かなどの報道をきっかけに、相場が大きく変動しました。

このように、その時期における重要なキーワードを把握し、その動向がどのようになるのかを想定することは非常に重要です。トレンドワードを利用すれば、今現在、市場の関心がどこにあるのか一目でわかりますので、有効活用できるのではないでしょうか。

足元は「スティグリッツ教授」に関心

ちなみに本日16日は「マイナス金利」よりも上位に、「スティグリッツ」という単語が話題のワードとして登場しています。スティグリッツ氏は、ノーベル経済学賞の受賞者であるジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授のこと。日本政府は16日午前、世界経済について有識者と意見交換する「国際金融経済分析会合」を初めて開き、講師として同氏を招きました。スティグリッツ教授は、世界経済は難局にあり「2016年はより弱くなるだろう」との見解を示し、「現在のタイミングでは消費税を引き上げる時期ではない」とも述べ、来年4月の消費税率10%への引き上げを見送るよう提言したと報じられています。

市場の関心は、徐々にマイナス金利など金融政策よりも、消費税や財政政策に向かいつつあると考えられそうです。

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