金融コラム 投資家が知っておくべき「原油価格に振り回されない銘柄選び」の方法 (2016/03/11)

2016年3月現在、相変わらず日経平均株価は原油価格の変動と、それに伴う為替の上下で激しく揺れ動いています。日によっては日経平均価格が500円以上動くという変動率の高い局面が続いています。今回は、中~長期的に安定した運用をしたい方のために、原油価格に影響しない銘柄選定術を探りたいと思います。

図:2016年3月10日時点での原油ETF(1671)の価格チャート

選定術1:業種選び

原油に影響されない銘柄選びですので、まず第一に業種分類(セグメント)の選定がスタートラインです。

原油価格が業績に大きな影響を与える業種としては「エネルギー(販売含む)」「科学」「石油精製」「製造(油性製品が関わる物)」「繊維(紙)」が当てはまります。

出展:経済産業省「原油価格上昇がわが国産業への影響に関する調査結果について(H16)」

データは少し古いですが、原油が必要な業種というのは画期的な新素材が開発されたような業界でない限り大きく様変わりしていないでしょうし、仮に開発されていたとしても原油依存が0%になっているということはほぼありえませんので、こちらのデータを参照していただければと思います。基本的に、「原油に依存している業種は避ける」ということが重要です。

その一方、上記のデータにある「鉄鋼」「電気機械」「アルミ」「セメント」などの業種は、原油の影響が低いとされているのですが、注意が必要です。なぜなら、原油価格の下落で資源国の経済が影響を受けた場合、おおむねこういった素材や電機・機械の有力な輸出先として資源国があるため、間接的に業績に悪影響を与える必要があります。また、原油価格が下落しているということは、原油の需要を左右する新興国の経済が変調している可能性が高いため、新興国経済の恩恵を受けている素材系業種も悪影響を受ける可能性があります。

原油価格が直接影響を与える業種、原油価格を左右する新興国・資源国向け輸出が多い業種などは、注意した方がよいということです。

選定術2:割安度と安全性から検索

では次に実際の銘柄選定です。ツール『QUICK株サーチ』を使い、銘柄を分析してみましょう。今回の銘柄選定で重視するのは「割安度」と「収益性」、「安全性」のスコアです。優先順位としては「安全性」(=自己資本比率)、つまり財務の健全性の方が上ですが、長期保有前提の場合は安全度があっても高値つかみをしては意味がないですし、逆に割安でも安全性が低ければ上場廃止や減資といったリスクに晒されるため不適格です。以下のようなスコアは理想形の一つであると考えられます。

これは初期ツール画面の「形から探す」で選定したものですが、手順としては以下です。

①:まず最優先の「安全性」と「割安度」を8以上に設定

②:「収益性」を5以上に設定

③:「規模」を3以上6以下に設定

④:「成長」に関してはあまり重視しない

スコア数値選択理由

では順番に、スコア数値の選定根拠について解説します。

①:「安全性」と「割安感」

これは前述した通り、「長期的に保有するの前提」というところの必須条件です。

②:収益性を5~以上

たとえば、いま安全性や割安感があっても、儲かっていない企業(収益性が低い企業)というのは、経済状況の変化を受けて売上が減ると、利益が急速に悪化する可能性があります。つまり財務状況が悪化する可能性をはらんでいます。

また、足元で収益が悪化している企業というのは為替や原油価格の影響を大きく受けている可能性が高いため、避けるべきです。もちろん、収益性の良い企業でも、その理由が原油価格の影響を受けていないか、ということもチェックする必要があります。要は、原油価格の変化とは関係なく、収益力のある企業を探そう、ということです。

ここでは、必要最低限(会社の運営経費)をまわせる程度に儲かっていれば問題はないので7以上というような高い水準を求めるのではなく、あくまで平均的な数値として5以上というのを選んでいます(もちろん高ければ高いに越したことはないのですが)。

③:規模を3以上6以下に設定

これも②と同じで「今後の運転資金コスト」に関する設定です。

当然、事業規模が多ければそれに伴う運転コストや社員の数などは多いパターンがほとんどですよね?

ですので、あまりにも大きすぎる企業というのは収益が悪化しだした場合、雪崩のようにファンダメンタルが崩れるリスクを内包しています。企業の大きさ=安定度、ではないので注意が必要です。

とはいえ、規模が小さすぎてもそれはそれで安定性が不安なので、小さすぎず、大きすぎずの3以上6以下という数値を選定しています。

④:成長に関してはあまり重視しない

これは「安全性」と「割安感」をベースにしているためです。

上記の条件を満たしている企業の場合、成長性があれば株価が上がりますし、成長性がなく(=事業として成熟している)安定性が高ければ自社株買いや配当といった形で株主に還元をする会社がほとんどです。

ですので、どちらにとっても保有者にとってはプラスということで、あまり重視をしていません。以上です。

こういった暴落局面は、中長期的に割安銘柄を探すチャンスですので、皆さんもぜひトライしてみてください!

編集:QUICK Money World

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