金融コラム 「内紛」が収束に向かうクックパッド、本当の実力は? (2016/02/29)

一時期は過去最高値の半値水準まで下落していたクックパッドの株価が反転、上昇の兆しを見せ始めました。高い成長率と収益性、そして投資家の期待を背負うこの銘柄について解説します。

今回の暴落の原因は「内紛」

今回の株価急落の原因は事業に問題や市場相場に流されてしまったたわけではなく、「内紛」が原因です。きっかけは2016年1月19日、クックパッド創業者であり取締役、また株式保有率44%の筆頭株主である佐野陽光氏が経営陣の刷新を求める株主提案をしたことです。語弊があるかもしれませんが、簡単に言ってしまうと「権利保有者として今の経営陣が気に入らないのでやめさせろ!」ということです。

今回の株主提案が行われた理由ですが、近年クックパッドは料理だけでなく、さまざまな事業の多角経営化を推し進めていました。

佐野氏から社長を引き継いだ現社長の穐田誉輝氏が「料理を中心とした社会的インフラ」を目標に掲げており、「食」というものに強いこだわりを持つ佐野氏とは次第に意見の相違が出てきた、というのが今回の内紛劇の始まりだったようです。

つまり、業績が悪くなったわけでもなく、むしろ創業者である佐野氏が経営していたときよりも業績がよくなっているにもかかわらず、「方針が気に入らない!」ということで株主提案を行い、それが株価の暴落という形で一般の投資家の方々から強い「NO」をたたきつけられた、というのが今回の暴落の流れです。2月9日には内紛の収束が報道されたことから、株価は反転基調に入りました。

参考:日経新聞2016/2/6 0:19配信 『クックパッド、内紛の代償 株価が2週間で3割超下落

投資家は創業者ではなく経営者に期待をしている

ではなぜ株価が暴落したのか。答えはシンプルで、今回佐野氏が経営陣の刷新を求めた経営陣ですが、投資家の方々はその経営者の方々、なかでも現社長の穐田誉輝氏にこそ強い期待を寄せているからです。

ここで以下のチャートを見てください。

これは上場から2016年現在にいたるまでの株価の推移を示すものなのですが、2013年ごろから株価が上昇基調にあることが見て取れます。現社長であり、今回刷新されてしまう可能性のあった穐田氏ですが、2012年の5月1日付けの人事異動で国内経営の責任者として就任した、という経緯があります。

上記の株価推移の点から、現社長である穐田氏の就任が業績改善や株価上昇の起点になったという見方ができます。ひいては今後の株価を引き上げる要因であると投資家の方々が考えており、今回の内紛(経営者の刷新)と株式の暴落をつなげて考えてみると「今の経営者だからこそ、クックパッドはさらに伸びる!」という投資家および市場の考えが映し出されていると考えることができます。

スコアから考える今後の企業力

では実際にツール『QUICK株サーチ』を使い、銘柄を分析してみましょう。この銘柄の分類はいろいろありますがやはりポイントは『高い安全・収益性』と『成長率』でしょう。また規模に関してですがこれは6、つまり業界内では中堅程度の規模であるということを示しています。ということはつまり、「高い収益性と成長性があるなら、まだまだ企業として伸びる余地はある」という見方をすることができます。たとえばこれが収益性が高くても安全性が低いスコアだと、(言い方は悪くなりますが)リスクの高い事業で高収益を上げている、ということになります。

もう一つ目につくのは「割安度」の指標の低さ、つまり割高な面です。収益力があっても成長力がなく、株価の割安感も低ければそれは「株価の頭打ち」を示します。

クックパッドは収益力と成長性の双方を兼ね備えた上で割高な銘柄です。投資家が買い進んでいる、つまり注目度が高い銘柄ということがスコアから示されています。こういった将来期待のある割高な銘柄は、割安/割高を示す指標が将来の利益の急成長を織り込んだ水準まで上昇しており、実際に好業績が発表されると割高感が薄れる傾向があります。実際の業績発表や、3月の株主総会、今後の経営体制などを見極める必要がありますが、今後が楽しみな企業と言えます。

投資の神様であるウォーレン・バフェット氏も「良い銘柄を、(本業とは関係のない)暴落時に拾っておけば後は放って置くだけでよい」という旨の台詞を多数残しています。株価だけ見ると割高ではありますが、本当にいいものでしたら今後の成長性も踏まえるとプラスになる可能性が高いので、市場が激しく動いている今だからこそ、こういった分析に基づいた運用を考えてみてもいいかもしれません。

(※2016年4月5日追記)

3月24日に開かれたクックパッドの定時株主総会を受けて穐田氏は代表を退任しました。その後、株価は下落を続け、再び1500円を割り込みました。

騒動が落ち着くかに見えましたが、株式市場が期待していた穐田氏続投はかなわず、市場の失望を誘った格好となっています。

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