QUICK月次調査<外為> 米利上げ、2016年は3回程度? 「金融緩和に逆戻り」のびっくり予想も(12月調査) (2015/12/14)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の12月調査を、12月14日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者78人が回答、調査期間は12月7~10日)。

今週は15~16日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)が注目されます。市場関係者の間では「12月の利上げは織り込み済み」として、9年半ぶりとなる利上げ実施はほぼ確実視されています。もはやマーケット参加者の目線は「利上げペース」に向かっており、FOMC後に行われるイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見に関心が集まっています。

米利上げ、2016年は3回程度か? 16年末のFFレート予想0.996%

今回のアンケートで「米政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の2016年末、2017年末時点の水準をどう予想しますか」と聞いたところ、単純平均で2016年末が0.996%、2017年末は1.669%となりました。12月の利上げ実施により実質ゼロ金利政策が解除され、直近の利上げ局面での利上げ幅(0.25%)を参考に今後の利上げペースを類推すると、2016年は「3回程度」の利上げが織り込まれている計算になります。同様に2017年は「2~3回」の利上げが見込まれる状況で、過去の利上げ局面と比べても利上げペースは緩やかになるとの見方が強いようです。

16年の世界経済成長率、15年に比べ「回復」予想は44%

FRBの利上げペースを占う上で世界経済がどの程度の成長率を達成するかがカギの一つになります。国際通貨基金(IMF)は10月下旬に世界経済成長率見通しを3.1%としましたが、16年は15年見込みと比べどうなると予想するか聞いたところ、「緩やかな回復」が41%で最多となりました。「急回復」の3%を合わせると44%の回答者は3.1%以上の回復とみていることになります。このほか、「緩やかな減速」が33%、「横ばい」が24%となりました。米利上げが新興国経済にマイナスの影響を及ぼすとの懸念も強いだけに、米利上げの予測には米景気自体の強さはもちろん、世界経済全体が上向きの成長軌道を維持するかどうかも引き続き注視する必要がありそうです。

2016年のドル円相場、「横ばい」が44%で最多 

米利上げペースや世界経済の見通しを基に「2016年のドル円相場はどう動くと予想しますか」と聞いたところ、「横ばい」との回答が44%で最多となりました。次に「再びドル高基調に戻る」が36%で続き、「ドル安基調に転換する」は19%でした。日米金融政策の方向性の違いを背景に「ドル買い・円売り」を予想する声がある一方、12月のFOMCでの利上げが織り込まれている点や利上げペースも加速することがなければ一段の「ドル買い・円売り」には傾きづらいとみている回答者も少なくないようです。足元では弱めの米経済指標もみられる中、米国経済が年明けにピークアウトし、「次もしくは次の次」の利上げに懸念が生じるという状況に直面した場合のマーケットへのインパクトも気になるところです。

びっくり予想、米国「緩和逆戻り」、日本「安倍首相退陣」「日銀執行部退陣」…

いよいよ年の瀬、ということもあり、今回のアンケート調査では「あなたが考える2016年の『びっくり予想』」も書いてもらいました。いろいろな予想が集まっていますが、このうちマーケットに大きく関係しそうなものをいくつか挙げてみましょう。

まず、米国関連では、「FRBが金融緩和姿勢に逆戻り」、「米国が利下げに追い込まれる」といった金利関連のコメントが多数見られました。それだけ市場では金利上昇に対する期待感が高いことの裏返しでもあります。怖いのは、まさにこの利上げ打ち止め、利下げというサプライズが示現した時で、そうなった時は世界的な株安や円買いといった動きが進むかもすれません。2016年は米国最大のイベント、大統領選の年ですが、問題発言の連発で物議を醸しているドナルド・トランプ氏の「米大統領選出」もびっくり予想に連ねました。

一方、日本関連では「安倍首相の退陣」。巷間、よく言われる健康問題も含め、安倍首相が辞任となれば、アベノミクスの頓挫ということで、株価には相当大きなインパクトが及ぶと思われます。ほかには「日銀関連」のびっくりが非常に多く、「政策レジームの変更」、「ターゲット変更」、「テーパリング」、「日銀執行部退陣」などがありました。

中国関連は「中国で政治が混乱」、「中国の現体制権の崩壊」といった政治絡みの回答が多く出ました。新興国関連は「OPEC加盟国内の不協和音の拡大とデフォルト」、「資源大手企業の債務不履行、資源国国債のデフォルト」など、資源絡みが多くみられます。折しも、12月11日に、1バレル=35ドル62セントまで原油価格が下落したことも、資源国経済の先行きに対する懸念を強めています。

最後にマーケット関連としては、「WTI原油価格1バレル当たり30ドル割れ」、「ドル円110円割れ」、「ユーロパリティ」などが挙げられました。が、今の米国経済の状況や利上げのインパクト、さらにいえば、2017年に予定されている日本の消費増税、新興国経済のスローダウンなどを考えると、NYダウや日本株の急落、原油価格の急落、ドル安などは、いずれも「びっくり」というほどのものではなく、ある程度、頭の片隅に織り込んでおいた方が良いのかもしれません。

短期的にはドル高・円安に一服感

毎月定点調査している為替相場見通しによると、短期的にはドル高・円安の流れに頭打ち感が出てきました。金融機関の外為業務担当者の見通し(単純平均)は、1カ月後の12月末のドル/円で単純平均が1ドル=122円91銭と、前回調査(123円25銭)に比べて円高方向へとシフトしました。

一方、6カ月後の2016年5月末の見通しは123円92銭となっています。ただ、新興国の景気低迷と原油価格の急落、米大手ファンドが運用するジャンク債ファンドからの資金引き出し凍結など、リスクオフにつながるニュースが複数、浮上しており、一本調子にドルが買われるムードでもなくなりつつあります。今後、米国の景気動向をはじめとして、新興国経済の動向、原油価格などが、米国の金利にどう影響するのかをチェックしておく必要がありそうです。

今後6カ月程度を想定してもらったところ、注目度は円、米ドル、ユーロのいずれも「金利/金融政策」が、他の要因に比べて高くなっています。なかでも米ドルについては、「金利/金融政策」の注目度が82%と非常に高く、今週行われるFOMCへの関心が高まっていることを示しています。

資源国通貨に先安観台頭

向こう6カ月間で、各通貨が対円でどのような動きをするのかとの設問では、相変わらず米ドルは「上昇」の回答率が高いものの、「上昇」予想から「下落」予想を差し引いたDIは10月のプラス52から徐々に低下し、12月はプラス43になりました。この点からも、米ドルの上昇に頭打ち感が浮上しているのが分かります。DIが大きくマイナス方向に振れた通貨としては、「カナダドル」、「豪ドル」、「NZドル」、「ブラジルレアル」など資源国通貨が目立ちました。いずれも原油価格の下落が通貨安につながる典型例といえます。

とはいえ、長期的には円安に向かうとみるファンド運用担当者は依然として少なくない様子。外貨建て資産の組み入れ比率について、当面のスタンスは「オーバーウエート」が上昇する一方、「ニュートラル」が低下しました。また為替のヘッジ比率についても、「ヘッジ比率を上げる」という回答が低下する一方、「ヘッジ比率を下げる」という回答が上昇しています。

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