QUICK月次調査<株式> 株式持ち合い解消は「株価にプラス」との見方が優勢(12月調査) (2015/12/07)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の12月調査を、12月7日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者174人が回答、調査機関は12月1~3日)。

12月1日に日経平均株価が2万円を回復したことにより、株式市場関係者の間ではやや強気のムードが高まりました。3日に欧州中央銀行(ECB)が追加緩和を決めたものの期待外れの緩和内容だったとして欧米株は急落、4日の日経平均も485円安と急落しました。しかし、4日発表された米雇用統計が堅調な内容となり、12月の米利上げが確実視される中で米国株が切り返したことから、日経平均は再び上値追いの雰囲気が広がっています。

年末株高への期待も高まる中、株式市場では金融庁のコーポレートガバナンスに関する有識者会議が、金融機関のみならず事業会社にも株式持ち合いの解消を促すという認識で一致したことが話題となりました。今回の特別調査では、事業会社や金融機関の株式持ち合い解消は進むのか、持ち合い解消に伴う業績や株式市場への影響をどうみるか、株式市場関係者の見方を聞いてみました。

事業会社の株式持ち合い解消「賛成」が大半

株式持ち合いは戦後から1980年代にかけて、日本における特有の資本取引慣習といわれていましたが、90年代に入ってバブル経済が崩壊する過程において、さまざまな弊害が生じてきました。

例えば時価会計が導入されたことから、持ち合い株式の評価が下落したことで、企業は損失を計上せざるを得なくなったこと。銀行はBIS(国際決済銀行)基準によって厳しい自己資本比率が課せられ、株式のようなリスク資産を大量に保有していると、自己資本比率が低下してしまうリスクにさらされること。そもそも持ち合いをすることによって、企業のグループ化、系列化が強固になり、閉鎖的なビジネス慣習が横行することなどが、その弊害といっても良いでしょう。

今回のアンケート調査でも「事業会社の株式持ち合い解消は必要だと思いますか」という質問に対して、「できれば解消した方がいい」が64%で最多となり、次に「早期に解消すべき」が22%となり、表現の強弱はあるものの、株式持ち合い解消に賛成する声が全体の86%を占めました。

ただ、「事業会社の株式持ち合い解消は実現すると思いますか」という問いに対しては、「ほとんど解消する」がわずか2%で、「ある程度解消する」が85%に上りました。理想を言えば株式持ち合いは解消した方が良いけれども、実際にそれを行うとなると、今までの慣習から難しい面も多々あることを伺わせます。

メガバンクの持ち合い株削減「目標通り実現」は47%

次に金融機関の場合はどうでしょうか。メガバンクは株式持ち合い削減の具体的な目標を公表しましたが、これに関して「実現すると思いますか」という問いに対しては、「目標通りに実現する」が47%、「削減は進むが目標には達しない」が51%となりました。「ほとんど実現しない」は2%にとどまり、中長期には持ち合い解消の流れが進みそうですが、取引関係が深い企業との交渉難航など目標達成に向けては紆余曲折がありそうです。

持ち合い解消は「株価にプラス」5割

株式持ち合い解消が進んだとして、企業業績やマーケットへの影響はどうなるでしょうか。

「株式持ち合い解消が進むと企業業績にどのような影響があると思いますか」という問いに対しては、「収益性が改善する」が38%でしたが、「影響しない」が54%も占めました。企業としては、収益改善につながらないものは後回しにするケースも多いとみられます。株式持ち合い解消はいずれ進んでいくのでしょうが、各企業の経営戦略等をにらみながら、時間のかかる作業になりそうです。

最後に株式市場への影響を聞いたところ、「収益の改善期待により株価上昇」が13%、「コーポレートガバナンスの改善により株価上昇」が36%で、株価上昇期待は合わせて49%となりました。一方、「需給の悪化により株価下落」が23%、「影響しない」が23%となり、株価にとっては積極的にポジティブとみていない市場関係者も少なくないようです。持ち合い解消に伴う需給不安の受け皿として、個人株主の取り込みを積極化する必要があるとの声もあります。今後の企業の動きに関心が集まります。

外国人投資家の日本株買いに期待感

日経平均株価が2万円台を回復する過程において、株式市場関係者のマーケットに対する見方は強気に転じました。

1カ月後の日経平均株価予想は、11月調査の1万9184円から大幅に上振れし、12月調査では2万48円になりました。半年後にかけても上昇予想で、2016年5月末は2万597円と予想されています。

今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、このところは一貫して「景気・企業業績」が最も高く、上昇傾向が続いています。新興国の成長スローダウンを受け、日本企業の業績にも影響が及ぶと見られているだけに、2016年3月期決算の行方などが、これから一段と注目されてきそうです。

また、今後6カ月を想定して、注目される投資主体としては、外国人投資家の動向に対する注目度が再び高まっています。ちなみに外国人投資家は、株式市場に及ぼすインパクトの度合いを見る指数(50以上がプラスの影響、50以下はマイナスの影響)も上昇しており、10月調査では51.6でしたが、12月調査では63.8まで上昇してきました。今後は外国人投資家の主導のもと、年末に向けての日経平均の上昇に期待感が広がっているようです。

国内機関投資家の投資スタンスは引き続き慎重

国内の資産運用担当者71人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「かなりオーバーウエート」が11月調査の10%から5%に低下する一方、「ニュートラル」や「ややアンダーウエート」が微増となりました。

また、当面のスタンスについては、「かなり引き上げる」、「やや引き上げる」がともに低下。「現状を維持する」、「やや引き下げる」、「かなり引き下げる」が、それぞれ増えました。外国人主導の年末株高への期待が高まる一方、12月に入ってからの株価上昇を見て、国内勢はやや慎重姿勢が目立ってきています。

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