QUICK月次調査<債券> 外債運用に対して慎重姿勢強まる(11月調査) (2015/11/30)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の11月調査を、11月30日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者148人が回答、調査機関は11月24~26日)。日本の長期金利が0.3%前後で推移するなど低金利環境が長期にわたり、これまで国内投資家の外貨建て投資が拡大してきましたが、足元で外債投資に絡んで必要となるドル調達のコストが上昇しています。今回の特別調査では、ドル調達コスト上昇の要因や各運用商品の投資への影響などについて、債券市場関係者の見方を聞いてみました。

ドル調達コスト上昇、「需給要因」との見方が約8割

ドル調達コストが上昇している要因について聞いたところ、「需給(ドル資金需要増加)」との回答が約8割を占めました。マーケット関係者の間では長らく米利上げ開始時期を巡る思惑が渦巻いていましたが、10月の米雇用統計が堅調な結果となったことを受け、「12月で決まり」との雰囲気が広がっています。さらには、フランスのパリで起きた同時多発テロや、世界的にみた先行き景気の不透明感などを背景にドル需要の高まりが意識されているようです。次に多かった回答は「金融規制」との見方で19%でした。

ドルベットの動きはさほど強くない?

こうした状況の中、「あなたが運用担当者なら」という前提で、運用商品の投資額を今後どのように変化させるかという点を質問しました。

外国債券を買う際に為替の先物予約などを組み合わせることにより為替変動リスクをとらない債券投資「為替ヘッジ付き外債」の投資額は、「減少」が46%で最多となりました。ただ、「変更なし」が36%、「増加」が17%となり、現状では為替ヘッジ付き外債の投資額を大きく減らそうという勢いは感じられません。

一方、「オープン外債」については、「増加」が46%でしたが、「変更なし」も40%を占めました。「円債」の投資額については、「減少」がわずか27%で、「変更なし」が59%を占めました。「待機資金」については、「変更なし」が54%で最多となりましたが、「増加」が34%を占め、「減少」の13%を上回りました。

これらの数字は、グローバルな債券マーケットへの投資姿勢についてやや様子見ムードが強く、為替のポジションは大きくドル高に傾ける環境でもない、ということを物語っているようにみえます。本来、ドル高にベットする傾向が強まれば、円債は売られて、オープン外債のポジションを高めるなどの傾向が明確に出てもおかしくありません。ただ、米経済が利上げを継続的に受け入れられるほど力強い拡大をみせるのかとの点に慎重な声があることも事実です。12月に利上げが実施された場合の金融市場の混乱への警戒感などもあり、ドル高トレンドがどの程度続くのかという点には懐疑的な見方もあるようです。

注目の投資主体は外国人投資家

毎月定例の相場見通しの調査では、新発10年国債の中期の想定利回りは、10月調査分に比べて下方にシフトしました。1カ月後の想定利回りは0.322%と同水準でしたが、3カ月後の2016年2月末、6カ月後の同年5月末については、それぞれ0.343%、0.379%と10月調査分(0.348%、0.387%)に比べて低下しています。米国では利上げムードが高まり、12月の利上げがほぼ確実視されていますが、日本の金利が正常化するには、まだ時間がかかりそうです。

今後、6カ月間を想定して、債券価格に影響を及ぼす要因として注目されているものは、これまで高い水準だった「短期金利/金融政策」が49%と10月調査分(62%)から大幅に低下しました。半面、水準自体は高くないものの「債券需給」が10月調査分の7%から16%へと大きく上昇しました。年末が近づいていることもあり、需給要因による債券相場の変動を気にかける市場関係者も増えつつあるようです。最も注目される投資主体では、今回唯一上昇したのが「外国人」で、10月調査分の21%から25%になりました。

先行きの金利上昇を織り込む動きも?

資産運用担当者70人を対象に、運用中のファンドについて、国内債券への投資比率が現状、通常の基準に比べてどうなっているのかを聞いたところ、「ややアンダーウエート」が低下する一方、「ニュートラル」が上昇、「ややオーバーウエート」が微増となりました。これだけを見る限り、債券についてはもう一段の利回り低下を織り込んで、債券のポジションを若干増やす傾向であるように見えますが、「かなりアンダーウエート」も上昇し、「ややオーバーウエート」と同率の7%になりました。「やや」と「かなり」の力関係で言えば、当然かなりの方が強く、資産運用担当者の見方としては、債券相場の行方に懐疑的な見方をしているのが伺えます。

また今後の組み入れ比率については、「やや引き下げる」が、10月調査分の8%から13%に上昇する一方、「やや引き上げる」、「現状を維持する」が低下しました。

当面のデュレーションについても、「やや長くする」が10月調査分の14%から9%に低下する一方、「やや短くする」、「かなり短くする」がともに上昇しました。ちなみに、「かなり短くする」の回答率は3%と水準こそ低いものの、このところ0%と1%の間で推移していたことを考えると、「金利上昇にともなう債券価格の下落」を織り込んで、投資家の間ではちょっとした動きが出てきたと考えることもできそうです。全体的に、長期金利は目先、やや低下余地を探る動きはあるものの、中長期的には上昇傾向になる可能性があり、資産運用担当者はそれを少しずつ視野に入れ始めたとは言えるかもしれません。

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