QUICK月次調査<外為> 米利上げ「12月」で決着か?日銀は追加緩和「動かず」予想が3割(11月調査) (2015/11/16)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の11月調査を、11月16日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者77人が回答、調査期間は11月9~12日)。

11月の外国為替市場では米ドルに対して円安が進行しました。これは11月6日に発表された10月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比27.1万人増加、失業率は5.0%まで低下するなど米経済の回復を示す結果となったことが一因です。毎月のように揺れ動く米利上げ時期に関する市場の見方ですが、今回はどうなったでしょうか。

米利上げ時期、「12月」が圧倒的多数に 見送りならFRBの信認に傷?

今回のアンケートで、「米連邦準備理事会(FRB)による利上げ開始時期をどう予想しますか」と聞いたところ、実に95%が「12月」と回答。前回10月調査(60%)から大幅に増加しました。10月の雇用統計が米景気の拡大を示す結果となったため、マーケットでは米利上げの年内実施は確実というムードが広まっています。

とはいえ、雇用統計は毎月の数字にブレがあります。10月分の好調な結果だけでは米景気の拡大ペースが加速したと手放しで言い切れない面もあります。実際、ISM製造業景況感指数は景気判断の分かれ目となる50%ぎりぎりの水準にありますし、小売売上高は市場予想に比べ弱い結果となりました。

仮に12月の利上げを見送った場合、FRB(イエレン議長)の信認にどのような影響を及ぼすかについて質問したところ、「やや揺らぐ」(36%)、「大きく揺らぐ」(22%)と、程度の差こそあれネガティブな影響につながるという見方が半数超を占めました。逆に、「影響ない」は35%にとどまりました。マーケットは確実に、利上げを促しています。

日銀「追加緩和なし」3割 ECBの追加緩和策「期間延長」8割超に

金融政策でFRBの焦点が「利上げ時期」なのに対し、日銀と欧州中央銀行(ECB)は追加緩和の有無が依然としてマーケット関係者の関心事になっています。もっとも、日銀とECBの政策の方向性に対する見方はやや変化の兆しもみられます。

ECBのドラギ総裁は10月下旬、デフレ懸念の払拭に向けて追加緩和の実施をいとわない姿勢を明確にしました。これを受け、追加緩和の手段として可能性が高いものは何だと予想するのか聞いたところ、「期間延長」が83%と最多となり、次いで「買い入れ額の増加」が55%、「預金金利の引き下げ」が41%となりました。

一方、「日銀が追加金融緩和に踏み切る可能性」について聞いた質問では、「追加緩和なし」との回答が30%で最も多くなりました。次に多かった回答が「2016年4~6月に追加緩和」で24%、「2015年12月」、「2016年1月」、「2016年3月」に追加緩和との回答がそれぞれ11%、12%、12%と見方が割れました。

日銀は物価目標2%の達成時期を「2016年度前半ごろ」から「16年度後半ごろ」に先送りしましたが、黒田総裁は物価の基調は「着実に改善している」との見方を変えていません。マーケットでは依然として「いずれ追加緩和に踏み切る」との見方が多いものの、実施時期に関しては迷いが生じているようです。日銀の金融政策については引き続き黒田総裁らの発言を注視する必要がありそうです。

再び円安ムード広がる 一段の円安進行は懐疑的な見方

毎月定点調査している為替相場見通しによると、再び円安ムードが広がっています。金融機関の外為業務担当者の見通し(単純平均)は、1カ月後の11月末のドル/円で単純平均が1ドル=123円25銭と、前回調査(120円38銭)に比べて大幅に円安方向へとシフトしました。また、3カ月後、6カ月後の見通しも123円台が見込まれています。

今後6カ月程度を想定してもらったところ、円は「景気動向」が引き続き下落要因とみられています。一方、ドルは「景気動向」や「金利/金融政策」が上昇要因として大幅に拡大。「物価動向」も上昇しました。

123円を超えて一段と円安を見込む声は少ないものの、年内の米利上げをにらみ緩やかな円安トレンドは続くとの見方になっています。ただ、アンケート調査後の11月13日にフランスで同時多発テロが発生し、リスク回避の円買いが進む場面がありました。米利上げ懸念などを背景に8月下旬に株式相場が調整を迎えたのも記憶に新しいところ。テロの影響などが今後、どこまで長引くのかもマーケットの関心事になりそうです。

資源国通貨は底入れ?

ファンドの運用者に、外貨建て資産の組み入れについてどう見ているかを質問したところ、当面のスタンスは「オーバーウエート」との回答が低下する一方、「ニュートラル」が上昇しています。またヘッジ比率については、「ヘッジ比率を上げる」という回答が10%で前月と変わらず。一方で「ヘッジ比率を下げる」が0%から20%に上昇しました。

外貨建て資産の組み入れ比率DI(オーバーウエート-アンダーウエート)について、当面のスタンスとしては、米ドルDIがプラス圏ながらも、前月に比べて水準を引き下げています。また、スイスフランDIは大幅なマイナスとなりました。なお、資源国通貨については、10月調査分のマイナス43からマイナス16に、マイナス幅を縮小させています。資源国通貨については、これまでの売り一色から、やや様子見へとムードが変わってきたようです。

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