金融コラム 上場後でも間に合う?郵政3社株への投資の考え方 (2015/11/02)

ついに明後日11月4日、日本郵政グループ3社(日本郵政ゆうちょ銀行かんぽ生命保険※)が、東証1部に新規上場を果たします。資金吸収額が合計で1兆4000億円を超えるなど、各メディアでも様々な取り上げ方をされており、投資家の関心を集めています。

売り出し株への申し込みも活況だったと報じられていますが、申し込みの抽選に外れ、郵政グループ株を直接購入するには発行市場ではなく上場後の流通市場(セカンダリー)で手に入れるしかない投資家も多いと思います。さて、こういった投資家はセカンダリーでどう動くべきでしょうか。

初値の過熱に要注意

新規上場株は過去の株価推移が分からないため、似た銘柄のPBR(株価純資産倍率)や株価推移などを参考にし、投資判断を考えるのが一般的です。

上場に伴い、政府保有株の売り出しを実施する郵政3社。比較対象として取り上げられるのは、過去の新規上場時に政府保有株の売り出しのあった企業群です。公開価格と初値、あるいは現在までの株価を比べた勝率を見て語る記事が多いですが、株式トレーダーとしては直近1年間でどのような収益機会があるかが注目点だと思います。売り出し株の申し込みに外れた投資家も多いと思いますが、上場後にどのタイミングで投資するか、が次の論点となります。

売出価格に基づいた基本的な投資指標は以下の通りです。市場全体の平均から見て割安な水準と見る声は多いです。これは市場関係者が郵政3社の上場に対して不安を感じていることの裏返し、つまりできるだけ魅力のある株にしようという値決めが実施されたことを示しているとも言えそうです。

日本郵政 ゆうちょ銀行 かんぽ生命
PBR(倍) 0.41 0.47 0.67
予想配当利回り(%) 3.3 3.4 2.5

問題は割安だからこそ、申込み時の人気は高かったという事実もあります。申込み時の人気の流れを引き継げば、初値も過熱する可能性が残ります。初値をつけた後、どのような株価推移となるか、上場日からの経過月数(上場月の月末を1とする)で見てみましょう。以下、新規上場時に政府保有株の放出を伴った企業の公開価格(=売出価格)を100として、その後の株価の月末値の推移を見たグラフです。

※国際石油開発は国際石油開発帝石に吸収される前の株価推移

過熱の記憶が語り継がれているNTT株は上場後3か月は上昇が止まりませんでしたが(上場からわずか2カ月後の87年4月に上場来高値318万円を付けた)、JR東日本やNTTドコモ、国際石油開発(現・国際石油開発帝石)は、上場した月の月末にやや株価は落ち着いています。過熱したNTTや、滑り出しの鈍かったJTを除けば、上場2~3か月目あたりからいずれも底堅い株価推移となっており、このあたりが狙い目なのかもしれません。

一方、初値が公開価格を下回ったJTは軟調な推移がしばらく続きました。現在は海外企業の買収が奏功し、株価(株式分割を調整後)は公開価格を大きく上回っているものの、上場直後の株価は低迷していたようです。

翌月末から期待される指数連動型投信の買い需要

さて、上場から2~3か月目以降に値動きが安定しやすい「大型上場のアノマリー」ですが、実は理由があるとの見方があります。というのも東証1部へ上場した銘柄は翌月末(過去には新規上場日の翌月の応答日の翌営業日)にTOPIX(東証株価指数)へ自動的に採用されるため、それ以降は株価指数連動型の投資信託の買いなどによる需給の支えが入るためです。

郵政3社も上場日の翌月末である12月29日大引け時点で、TOPIXに組み入れられる予定です。一部証券会社によれば、TOPIX連動ファンドによる郵政3社への買い需要は約1100億円とも言われています。大型株であるため、他の指数に組み入れられることも考えられます。

セカンダリーで郵政3社への投資を考えている投資家は、こういった需給のタイミングなどに注意しながら動くべきでしょう。

以下、政府保有株の売り出しを伴った過去の上場企業について、新規上場後3カ月間と1年間の株価チャートを掲載しておきます。郵政3社への投資の参考としてご覧ください。

9432 NTT 1987/2/9上場

■3か月

■1年

9020 JR東日本 1993/10/26上場

■3か月

■1年

2914 JT 1994/10/27上場

■3か月

■1年

9021 JR西日本 1996/10/8上場

■3か月

■1年

9022 JR東海 1997/10/8上場

■3か月

■1年

9437 NTTドコモ 1998/10/22上場

■3か月

■1年(株式分割などを調整)

9513 電源開発(Jパワー) 2004/10/6上場

■3か月

■1年

1604 国際石油開発 2004/11/17上場

※国際石油開発帝石(1605)に吸収され、上場廃止

■3か月

■1年

※郵政3社のデータは上場日以降、順次更新していきます

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